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社会をあかるく

 先日、ひょんなことから保護観察所の前を通りかかり、こんな所にあったのかと驚いた。すぐ近くに出身大学のキャンパスがある。まったく気づかなかった。もっとも、あのころの私は自分の内側にしか興味がなかったので(今でも割とそうだけど)、気づいていないものはたくさんある。今になって気づくたびに、私は大学時代を無為に過ごしたのだという靄が胸をふさぐ。

 今月は社会を明るくする運動の強調月間らしい。そんな垂れ幕が保護観察所にかかっていた。社会を明るくする運動? 小学生のとき、毎年、ポスターを描かされたけれど、いまだにどういうことだかピンとこない。

 

 を犯してしまった人でも、それを償えば社会の一員として再び受け入れたい。理想ではあるが、現実はどうか。……

 街のチンピラ2人が、青年を暴行して海に突き落とし死なせた。理由は「生意気な口をきいたから」。出所後何年かして1人は覚せい剤取締法違反、もう1人は無免許、酒気帯び運転で逮捕された。……

 「ワル」はしょせん「ワル」でしかないのか。刑務所での矯正教育は適正、十分なのか。それとも、出所後の社会の受け入れ体制に不備があって、再び罪に走ることを防げなかったのか。2016年版犯罪白書によると、出所受刑者のうち約4割が5年以内に再び犯罪に及び「塀の中」に戻っている。……

 出典:岩手日報 風土計(2017.7.23)

 

 上記で参照されている資料は、「平成28年版 犯罪白書 第5編/第3章/1」であろう。しかし、より注目すべきはこの次のページ「平成28年版 犯罪白書 第5編/第3章/2」だ。ここには再入者状況を属性別にみた特徴がまとめられている。いわく、65歳以上の者は20.4%であり、満期釈放者の方が仮釈放者に比べて再入率が顕著に高く、窃盗覚せい剤取締法違反が全体の過半数を占めているという特徴だ。こうしたデータから、再犯を促す要素や、出所者に対する支援の示唆を得ることができる。

 

国連特別報告者

 気が狂いそうなほど眠い。

 

 謀罪の構成要件を取り込み「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を巡り、衆院通過を前に国連特別報告者が政府に書簡を送り「深刻な欠陥のある法案をこれだけ拙速に押し通すことは絶対に正当化できない」と強く批判した。……

 最初の書簡は18日付で安倍晋三首相宛てだった。法案にある「計画」や「準備行為」のあいまいさなどの「欠陥」を指摘した。政府が外務省を通じ抗議すると、今度は「法案の欠陥に一つも向き合っていない」「法案やその他の法律のどこに、プライバシー権の保護と救済が含まれているか示してほしい」とする22日付の書簡が送られてきた。

 犯罪が実行され被害が生じる前の計画段階で罰するには、プライバシーに踏み込み「内心」を探ることが必要になる。適用対象の「組織的犯罪集団」の誰かが自首したり、周辺関係者が通報したりすることもあるかもしれないが、多くの場合は監視により捜査の端緒をつかむことになろう。……

 出所:「共謀罪」書簡|佐賀新聞LiVE(2017年5月26日)

 

  河原町あたりを歩いていると、横断幕を広げて歩く集団を見かけることがある。「9条守れ」というコールに、先日は「ラインの監視 絶対反対」というのが加わっていた。監視といって、どの程度監視されるものなのかは分からない。疑いのある人物を人の目で見るのか、それとも電子的に世の中のありとあらゆるデータの中から不穏な言葉のやりとりを拾い上げるのか。

 拙速と思われる法案成立の動きには、2020年の東京五輪に向けたテロ対策という名分があるだろう。安全というものにも種類があるのかもしれない。憲法や法というのは、そこでバランスをはかりながら成立されるべきものだと思うが、少なくとも国民ではなく権力を抑制するものであってほしい。

 私たちは、当然、権力による監視をなんとなくいやだなと思うけれど、何かあれば「警察はなにやってるんだ」なんて毒づくし、「政府の対応が遅い」とも批判する。おそらく日本でちょっとしたテロがあろうものなら、この法案成立の追い風になる。実はそれがちょっと怖い。