sleep like a log

新聞のコラムや社説をながめてみる

文化・宗教

今は漕ぎ出でな

「ハロウィーンどうするの?」と聞かれ、「カボチャでも食べようかな」と答えたら「冬至かよ」って突っ込まれました。 万葉集に「熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕(こ)ぎ出(い)でな」の一首がある。高校生に絵にかかせたら…

140字のツイッター

ものを考え、書く力を付けるためには「ツイッターを140字以内ではなく、140字以上でないと送信できなくすればいいんじゃないか」と言った人がいる。 カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した「万引き家族」の是枝裕和監督だ。朝日新聞の取材に対する…

月曜日の朝

<月曜日の朝のようにロマンチックではない>。そんな英語の言い回しがある。英国の作家C. ブロンテの小説の一節だ。現実の煩わしさを最も感じるもの憂い時。しかし、昨日の朝ばかりは寝不足が重なっても、なかなかの幸福感を覚えた人が、多かったのではな…

デジタルとアナログ

先日、会社の後輩から、大切な紙の資料を電子文書化していないことを不思議がられた。そうすれば効率的に保存できると言いたいらしい。アナログ世代は、ITやらSNSやらAIやら、もうついていけない。 デジタルが暮らしで幅を利かせる中、人生の先輩たちの地道…

手紙

文豪、夏目漱石が大の手紙好きだったことはつとに有名である。門下生に宛てて「小生は人に手紙をかく事と人から手紙をもらう事が大すき」と記したほどである。 残された書簡類は優に2500通を超えるという。……漱石が二人の学友に送ったはがき3通の原本が福井…

誰かの靴を履いてみる

英国在住のライター・ブレイディみかこさんの息子さんが通う公立学校で、期末試験にこんな問題が出た。「エンパシーとは何か」。息子さんの答えは「自分で誰かの靴を履いてみること」。他人の立場に立ってみるという意味がある英語の定型表現という。 「エン…

ミョウガ伝説

お釈迦様の弟子だからといってみんな賢い人ばかりとは限らなかった。チューラ・パンタカ(周利槃特)はお釈迦様から教えられたことを片っ端から忘れてしまう人物だった。 悟りを開くことができた周利槃特が亡くなり、その遺骸を土に埋めると、そこからいい香…

墓石に刻まれた名前

脚本家の向田邦子さんは、作中の人物を何と名付けるか迷うと、墓石に刻まれた名前を探して、墓地を歩きまわった。そうして生まれたのが主人公「寺内貫太郎」だったという。演出の久世光彦さんが晩年の随筆に書いている。…… 出典:中日春秋:中日春秋(朝刊コ…

文机

「書くより大事なのは机の前に座ること」。98歳で亡くなる晩年まで書き続けた作家の宇野千代さんはものを書く秘訣をこう語った。…… ちなみに夏目漱石の文机は“木のダイヤモンド”と呼ばれる紫檀。磨き込んで飴色の深い光沢と艶を楽しんだ。谷崎潤一郎は吉川英…

藤原定家の日記

大歌人、藤原定家の日記はいつも天候の記述で始まる。1180年から半世紀以上も一貫した習慣だ。有名なのは「天晴る。明月片雲なし」。 のちに日記が「明月記」と呼ばれるようになった由来である。好日だったのだろうと想像したくなるが、実は事件が起きていた…

あるじ不在の家

あるじ不在の家は人がやたら立ち入り、キツネやフクロウもすみつく。鎌倉時代の末期、吉田兼好はそんな身近な例を挙げて説いた。〈虚空〉には何でも物が入る。われわれに雑念が勝手に入ってくるのも心に主人がいないからだ、と。…… 社会学者マックス・ウェー…

身を捨ててこそ浮かぶ瀬

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という格言をご存じだろう。その意味といえば、一般的に「自分を犠牲にする覚悟があれば、物事はうまく行く」と解釈される。…… しかし分析哲学が専門の野矢茂樹さんは「溺れそうになったらむきにならず、力を抜いて身を任せ…

ロヒンギャ問題

ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャへの迫害問題で、国際的な批判が高まっている。40万人超のロヒンギャが迫害を避けるため、隣国バングラデシュに逃れ、難民となっているのだ。 出所:新潟日報オピニオン(2017.9.25) 民族浄化の様相とすら批難さ…

どんな本読んでるの?

「何を読んでいるか言ってごらん。そうすれば君がどんな人間か当ててあげよう」。1952年ノーベル文学賞を受賞したフランソワ・モーリヤックのよく知られた名言だ。…… 出所:何を読んでいるか言ってごらん - Miyanichi e-press(2017.8.2) 「どんな本読むの…

されどトイレ

テレビドラマ『離婚弁護士』で主演の天海祐希さんがセクハラされた女性の職場に乗り込む場面。トイレが男女共用であることに、セクハラ問題に鈍感な会社の体質を暗示させる。トランプ米政権が、自己認識に基づく性別でトイレを使用させるように求めたオバマ…

雁供養

会社ではゲラを回し、それ以外では三つの副業に追われる。なぜすべての繁忙期が重なったし…。貧乏暇なしとはまさにこのこと。1か月ぶりの更新でございます。 津軽の浜の言い伝え――。渡り鳥のガンは枝をくわえて海を越える。疲れたら波間に枝を浮かべて止ま…

読書か・・・

きょうは3時間睡眠の頭。いつものっぺりした顔だから、目の下、クマというか、ちょっと朱くなっていて、かえっていつもより明るくみえる。年明けだからか、ゲラも原稿もまだそろいきらない。たぶん来週ぐらいからは忙しくなるでしょう。 役者を3日やれば、…

チョコレートを避ける誠実さ

小説家の江國香織さんは、夫が自分以外の女性にチョコレートを贈ることを許さない。「甘くて贅沢な快楽を伴って口の中でとけるチョコレートは男が女の心を溶かすためのもの。恋愛にまつわる約束はたいてい無意味だから、贈り物をすることになった場合、チョ…

ほた、ほた

八戸市出身の芥川賞作家三浦哲郎さんは、確かで美しい日本語の使い手の一人だった。……随筆に『ほた、ほた』という擬音が出てくる。それは寒い冬の夜、三浦さんの母上の日課だった。寝静まった家族の寝床をそっと訪れ、布団の肩口を優しくたたいて回る。「ほ…

パズルの秋

手書きの文字には驚くほどその人の癖が出るという。筆跡鑑定の専門家の手に掛かると、点画の取り方や転筆(筆運びの切り返し)の筆癖は指紋と同じで、誰の文字だか判別できるらしい。 第三者が本人自筆を研究し尽くし、筆跡を偽造しても、ばれるものはばれる…

パブと居酒屋

英国ではパブの閉店に反対する運動は珍しくないという。そこが日本の居酒屋とは大違いであることを、近刊の小坂剛著「酒場天国イギリス」(中公新書ラクレ)に教えられた。 経営が思わしくないと知った常連客が共同経営に乗り出すことがしばしばあり、取り壊…

〆切本

文豪と呼ばれた夏目漱石や島崎藤村から現代の売れっ子作家まで、書き手は原稿の締め切りに追われる。「どうしても書けないんだ」「鉛筆を何本も削ってばかりいる」。言い訳はさまざまだ。締め切りにまつわる作家90人の随筆や手紙、日記、対談から拾った「〆…

図書館へのアクセス

京都に来てから、あまり図書館を利用しなくなりました。 京都市図書館は市内20か所にあり、駅やバスを利用すれば、アクセスは簡単です。ただ、1~2週間に1度は通いたい、となると、ちょっとめんどくさい。たとえば四条のような中心地にはないので、仕事帰…

妖怪話の中の社会

8月もいよいよ終わろうとしていますね。小さいころから夏休みの宿題は30日、31日にするタイプだった私は、小学生のときは泣きながら夜中に絵を描いたりしていましたが、 高校生にもなると夏休みが終わってからやり始めたりもしました。習字、絵、読書感想文…

詩のボクシング

「詩のボクシング」は、リングに見立てたステージに2人の詩人が交互に立って作品を朗読し、それを審判や観客が判定して勝敗を決める。「声と言葉の格闘技」とも説明されている。……持ち時間は1ラウンド3分の10ラウンド制。ユーモアで会場を沸かせる、機関…

ダッカ飲食店襲撃事件

「あらゆる人権を否定するのが貧困です」。10年前、ノーベル平和賞を受けたバングラデシュの銀行家ムハマド・ユヌスさんの言葉を思い出す。貧しい人に無担保で低額を融資する。その金で起業し、自立を促す「マイクロファイナンス」を根付かせた人物だ。…… か…

海と毒薬

『海と毒薬』を読まれたことはありますか。 私は遠藤周作が好きで、いくつか本棚においています。一番好きな『死海のほとり』、晩年の作品で完成度の高い『深い河』、そして、『海と毒薬』も。 ……1945年5月、九州を爆撃した米軍のB29が迎撃を受けて墜落し…

銃とアメリカ

アメリカのナイトクラブで起きた銃乱射事件。犠牲者はアメリカ史上最悪の50人以上とのことです(こんなことを言ってはあれですが、今まで多くの乱射事件が起きたなかで、もっと大きな犠牲を出していたイメージがありました)。 本日のコラムや社説も、アメリ…

時間とあかり

……きょうは「時の記念日」。671年、天智天皇が作った漏剋(ろうこく)(水時計)が、初めて時を刻んだ日にちなみ定められた。『日本書記』には「漏剋を新しき台(うてな)に置く。始(はじ)めて候時(とき)を打つ。鐘鼓(しょうこ)を動(とどろか)す」と…

アメリカの森のくまさん

ある日 森のなか くまさんに 出会った…。童謡「森のくまさん」の歌い出しだ。歌詞に出てくるクマは親切で気が優しい。遭遇した女性にわざわざ「お逃げなさい」と忠告し、後を追って落とし物のイヤリングまで届けてくれる。 逃げなさい、となぜクマが気遣うの…