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新聞のコラムや社説をながめてみる

文化・宗教

愛嬌というのは

夏目漱石『虞美人草』の序盤で、登場人物が言う。<愛嬌というのはね-自分より強いものを倒す柔らかい武器だよ>。にこやかで憎めない表情やしぐさは、時に強みになる。漱石が解釈する愛嬌だろう。…… 秋の花、曼珠沙華は思わぬ場所にいきなり咲いて人を驚か…

犬の日々、犬の耳

駅から会社までの3分の道のりですら行き倒れそう…。朝から30度、昼には35度、家に帰ると室内も35度。骨董品のようなエアコンからいつ煙が噴き出さないかとハラハラする毎日です。そもそも室内の熱を外に出すっていうシステムと、アスファルトやコンクリート…

鹿十

「シカトする」。無視を意味するこの身近な俗語も鹿が語源だ。もともとは花札の10月の10点札がそっぽを向いた鹿の絵柄であることから、博徒らが無視の隠語として呼んだ「鹿十(しかとう)」が転じた。 出典:朝刊コラム「談話室」|山形新聞(2019.7.15) 「…

持っている武器の心細さ

古代ギリシャで、持っている武器の心細さを嘆く子に、親が言った言葉だという。「汝の一歩を加えて、剣の短きを長くせよ」。英国の著述家スマイルズの『自助論』にある。不利に見える境遇を克服するのは、一歩前に出る勇気である。そう語っていようか。 出典…

何かをなしたり、何かを残したり

その学生は友人と話し込んでいたそうだ。その時、空襲を受けた。学生は本来入るべき防空壕ではなく、友人の入る防空壕にやむなく逃げた。 空襲後、自分が入るはずだった防空壕を見に行った。中にいた者は死んでいた。「ばかやろう。こんな戦争はやめだ、ばか…

じんぎ残し

「頼まれれば越後から米つきに」。そういう言い回しで覚えていた。他県では通じないものだと思い込んでいた。頼まれたら断れぬ越後人の気質を言ったものだろうと。全国区のことわざだと知ったのは、辞典を何げなくめくっていたとき。 「頼めば越後から米つき…

今は漕ぎ出でな

「ハロウィーンどうするの?」と聞かれ、「カボチャでも食べようかな」と答えたら「冬至かよ」って突っ込まれました。 万葉集に「熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕(こ)ぎ出(い)でな」の一首がある。高校生に絵にかかせたら…

140字のツイッター

ものを考え、書く力を付けるためには「ツイッターを140字以内ではなく、140字以上でないと送信できなくすればいいんじゃないか」と言った人がいる。 カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した「万引き家族」の是枝裕和監督だ。朝日新聞の取材に対する…

月曜日の朝

<月曜日の朝のようにロマンチックではない>。そんな英語の言い回しがある。英国の作家C. ブロンテの小説の一節だ。現実の煩わしさを最も感じるもの憂い時。しかし、昨日の朝ばかりは寝不足が重なっても、なかなかの幸福感を覚えた人が、多かったのではな…

デジタルとアナログ

先日、会社の後輩から、大切な紙の資料を電子文書化していないことを不思議がられた。そうすれば効率的に保存できると言いたいらしい。アナログ世代は、ITやらSNSやらAIやら、もうついていけない。 デジタルが暮らしで幅を利かせる中、人生の先輩たちの地道…

手紙

文豪、夏目漱石が大の手紙好きだったことはつとに有名である。門下生に宛てて「小生は人に手紙をかく事と人から手紙をもらう事が大すき」と記したほどである。 残された書簡類は優に2500通を超えるという。……漱石が二人の学友に送ったはがき3通の原本が福井…

誰かの靴を履いてみる

英国在住のライター・ブレイディみかこさんの息子さんが通う公立学校で、期末試験にこんな問題が出た。「エンパシーとは何か」。息子さんの答えは「自分で誰かの靴を履いてみること」。他人の立場に立ってみるという意味がある英語の定型表現という。 「エン…

ミョウガ伝説

お釈迦様の弟子だからといってみんな賢い人ばかりとは限らなかった。チューラ・パンタカ(周利槃特)はお釈迦様から教えられたことを片っ端から忘れてしまう人物だった。 悟りを開くことができた周利槃特が亡くなり、その遺骸を土に埋めると、そこからいい香…

墓石に刻まれた名前

脚本家の向田邦子さんは、作中の人物を何と名付けるか迷うと、墓石に刻まれた名前を探して、墓地を歩きまわった。そうして生まれたのが主人公「寺内貫太郎」だったという。演出の久世光彦さんが晩年の随筆に書いている。…… 出典:中日春秋:中日春秋(朝刊コ…

文机

「書くより大事なのは机の前に座ること」。98歳で亡くなる晩年まで書き続けた作家の宇野千代さんはものを書く秘訣をこう語った。…… ちなみに夏目漱石の文机は“木のダイヤモンド”と呼ばれる紫檀。磨き込んで飴色の深い光沢と艶を楽しんだ。谷崎潤一郎は吉川英…

藤原定家の日記

大歌人、藤原定家の日記はいつも天候の記述で始まる。1180年から半世紀以上も一貫した習慣だ。有名なのは「天晴る。明月片雲なし」。 のちに日記が「明月記」と呼ばれるようになった由来である。好日だったのだろうと想像したくなるが、実は事件が起きていた…

あるじ不在の家

あるじ不在の家は人がやたら立ち入り、キツネやフクロウもすみつく。鎌倉時代の末期、吉田兼好はそんな身近な例を挙げて説いた。〈虚空〉には何でも物が入る。われわれに雑念が勝手に入ってくるのも心に主人がいないからだ、と。…… 社会学者マックス・ウェー…

身を捨ててこそ浮かぶ瀬

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という格言をご存じだろう。その意味といえば、一般的に「自分を犠牲にする覚悟があれば、物事はうまく行く」と解釈される。…… しかし分析哲学が専門の野矢茂樹さんは「溺れそうになったらむきにならず、力を抜いて身を任せ…

ロヒンギャ問題

ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャへの迫害問題で、国際的な批判が高まっている。40万人超のロヒンギャが迫害を避けるため、隣国バングラデシュに逃れ、難民となっているのだ。 出所:新潟日報オピニオン(2017.9.25) 民族浄化の様相とすら批難さ…

どんな本読んでるの?

「何を読んでいるか言ってごらん。そうすれば君がどんな人間か当ててあげよう」。1952年ノーベル文学賞を受賞したフランソワ・モーリヤックのよく知られた名言だ。…… 出所:何を読んでいるか言ってごらん - Miyanichi e-press(2017.8.2) 「どんな本読むの…

されどトイレ

テレビドラマ『離婚弁護士』で主演の天海祐希さんがセクハラされた女性の職場に乗り込む場面。トイレが男女共用であることに、セクハラ問題に鈍感な会社の体質を暗示させる。トランプ米政権が、自己認識に基づく性別でトイレを使用させるように求めたオバマ…

雁供養

会社ではゲラを回し、それ以外では三つの副業に追われる。なぜすべての繁忙期が重なったし…。貧乏暇なしとはまさにこのこと。1か月ぶりの更新でございます。 津軽の浜の言い伝え――。渡り鳥のガンは枝をくわえて海を越える。疲れたら波間に枝を浮かべて止ま…

読書か・・・

きょうは3時間睡眠の頭。いつものっぺりした顔だから、目の下、クマというか、ちょっと朱くなっていて、かえっていつもより明るくみえる。年明けだからか、ゲラも原稿もまだそろいきらない。たぶん来週ぐらいからは忙しくなるでしょう。 役者を3日やれば、…

チョコレートを避ける誠実さ

小説家の江國香織さんは、夫が自分以外の女性にチョコレートを贈ることを許さない。「甘くて贅沢な快楽を伴って口の中でとけるチョコレートは男が女の心を溶かすためのもの。恋愛にまつわる約束はたいてい無意味だから、贈り物をすることになった場合、チョ…

ほた、ほた

八戸市出身の芥川賞作家三浦哲郎さんは、確かで美しい日本語の使い手の一人だった。……随筆に『ほた、ほた』という擬音が出てくる。それは寒い冬の夜、三浦さんの母上の日課だった。寝静まった家族の寝床をそっと訪れ、布団の肩口を優しくたたいて回る。「ほ…

パズルの秋

手書きの文字には驚くほどその人の癖が出るという。筆跡鑑定の専門家の手に掛かると、点画の取り方や転筆(筆運びの切り返し)の筆癖は指紋と同じで、誰の文字だか判別できるらしい。 第三者が本人自筆を研究し尽くし、筆跡を偽造しても、ばれるものはばれる…

パブと居酒屋

英国ではパブの閉店に反対する運動は珍しくないという。そこが日本の居酒屋とは大違いであることを、近刊の小坂剛著「酒場天国イギリス」(中公新書ラクレ)に教えられた。 経営が思わしくないと知った常連客が共同経営に乗り出すことがしばしばあり、取り壊…

〆切本

文豪と呼ばれた夏目漱石や島崎藤村から現代の売れっ子作家まで、書き手は原稿の締め切りに追われる。「どうしても書けないんだ」「鉛筆を何本も削ってばかりいる」。言い訳はさまざまだ。締め切りにまつわる作家90人の随筆や手紙、日記、対談から拾った「〆…

図書館へのアクセス

京都に来てから、あまり図書館を利用しなくなりました。 京都市図書館は市内20か所にあり、駅やバスを利用すれば、アクセスは簡単です。ただ、1~2週間に1度は通いたい、となると、ちょっとめんどくさい。たとえば四条のような中心地にはないので、仕事帰…

妖怪話の中の社会

8月もいよいよ終わろうとしていますね。小さいころから夏休みの宿題は30日、31日にするタイプだった私は、小学生のときは泣きながら夜中に絵を描いたりしていましたが、 高校生にもなると夏休みが終わってからやり始めたりもしました。習字、絵、読書感想文…