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緊急事態条項

 

 昨日、改憲と緊急事態条項について触れましたが、本日付の社説でも、同じく災害に乗じた改憲を危惧する内容を見つけました。

 

 大災害や他国から武力攻撃を受けた際に内閣に権限を集中させる「緊急事態条項」の創設が、憲法をめぐる論点として浮上してきた。

 ……そもそも、緊急事態条項は「非常事態」を理由に内閣が超法規的な措置を取る規定である。国会に諮らずに政令を制定し、国民の権利を制限できる。一時的であれ、時の政権に絶対的な強権を委ねる仕組みだ。

 ……論拠の一つが道路などをふさぐがれきの問題だ。勝手に撤去すれば憲法が定める財産権の侵害になる懸念があり、救助などを阻んだという。

 災害法制に詳しい兵庫県弁護士会の永井幸寿弁護士は「それは全くの誤解だ」と指摘する。

 災害対策基本法では、市町村長はがれき撤去などの応急措置が取れる。むしろそうした法制度がよく理解されていないことに問題がある。……

〔社説:神戸新聞2016年5月4日。強調は引用者〕

 

 局地的な災害であれば、都道府県や市区町村ごとの対応がメインになりますが、「大災害や他国から武力攻撃を受けた際に」とあるように、今後、南海トラフ地震や首都直下地震が起こりえること、さらには、国際情勢の動きとして、万が一にも国外からの攻撃を受けた場合に迅速に対処するために必要だ、というのが「緊急事態条項」に対する要請だと思います。

 ですから、これに対して災害対策基本法など、災害時の法制度のみで反論するのは足りないのではないか、という気はします。おそらく、より大局的な視点、有事の際の国家的な指示・対応が問題になっているからです。しかし、国家権力の強化については監視・警戒されてしかるべきなので、緊急事態への対応という大義に乗じて改憲に走るのは、普通に考えて怖い。

 それとはまた別の話として、災害時の複雑な法制度という問題もあると思います。行政は普段の業務に加えて、緊急時の対応の準備も必要であり、実際に災害が起きたときには、自らが被災者でありながら、市民の対応にあたらなければなりません。複雑な法制度は、素早い対応・効果的な援助の壁になるのではないでしょうか。

 

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