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新聞のコラムや社説をながめてみる

食べたくない、食べられない

 

 蜷川幸雄氏の逝去、熊本大地震から1ヶ月、沖縄の本土返還44年、タックスヘイブン三菱自動車の燃費データ不正……と、紙面の話題は豊富ですが、今回は食べ物の話でも。

 

 「高野聖」などの作家、泉鏡花は「豆腐」を「豆府」と書いていたそうだ。……

 口に入れる物に対してかなり神経質な性質で、魚の刺し身などは絶対に食べなかった。豆腐もグラグラと煮つめないと口にできなかったほどでたとえ漢字であろうと「腐」の字が許せなかったという。

 それほど警戒していたにもかかわらず、ある会合で酔っぱらってしまい、その勢いでタコの刺し身を口にしてしまったことがある。翌朝、友人に「タコを食べていましたよ」と教えられた途端、真っ青になり、急におなかが痛くなったと帰ってしまったそうだ。……

〔コラム:中日新聞2016年5月15日〕

 

 ……マレーシアのイスラム教徒(ムスリム)に呼び掛け、岡山県内などを観光する6日間のツアーが今月、初めて行われる。

 ……ユニークなのは、豚肉やアルコールなどが禁じられているムスリム向けの食事を随所に組み込んでいることだ。戒律に従っていることを示すハラル認証を受けた岡山市の和食店や、ハラル認証の米粉パンを製造するアーレム社の吉備中央町の工場も訪れる。

 ……1日5回礼拝する規律に配慮し、祈りの時間も設ける。

 ……世界人口の4分の1を占め、大きな訪日需要が期待されるのがムスリムだ。……

〔コラム:山陽新聞2016年5月15日〕

 

 保育園と小学校では、出された給食を残さず食べないとお昼休みに入れなくて、当時かなりの小食で好き嫌いの多かった私には、給食の時間がたいへん苦痛でした。いま思えば「アレルギーで」とか「宗教的理由で」とか適当に言っておけば良かったんでしょうが、そんな知恵もはたらかない年頃なので、泣きながら食べてました。正直、今でもちょっと恨んでます(笑)。

 それに比べて、中学生にもなると人並みに量を食べられるようになり、おまけに担任の先生もチーズが嫌いな人だったので、嫌いな物を無理に食べさせようとはせず、さらに育ち盛りの男子が「あげる」と言えば食べてくれたので、楽なもんでした。

 今となっては、嫌いなものをわざわざ食べるのは付き合いの席くらいなので、本当に大人になってよかったなと思います。

 健康を害するような偏食でもない限り、誰にでも「食べたいものを食べる自由」「食べたくないものを食べない自由」ぐらいはあるでしょう。アレルギーや宗教的理由ともなれば「食べられない」のだから、そこに目を付けてツアーを組むのも需要があるんじゃないでしょうか。いま、日本は観光客を増やそうと取り組んでいるところですし、言葉や宿泊所の問題もありますが、食べ物も重要な要素です。

 

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山陽新聞「滴一滴」2016年5月15日(http://www.sanyonews.jp/article/349424/1/?rct=tekiitteki