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sleep like a log

新聞のコラムや社説をながめてみる

魂呼ばい

 この国にはかつて、「魂呼(たまよ)ばい」という風習があった。亡くなった人の魂を呼び返そうと、家の屋根に上って、その名を叫ぶ。沖縄では「マブリユビ(霊魂呼び)」といい、昭和初期ごろまで続いていたそうだ。

 米軍属が逮捕された沖縄の女性遺体遺棄事件。愛する娘を失った父はおととい、遺体が発見された雑木林を家族らと訪れて娘の名を呼び、こう語り掛けた。

「お父さんだよ、お父さんのところに帰るよ。みんなと一緒について来てよ。お父さんのところに帰るよ」……

 愛娘が変わり果てた姿で見つかった現場で、父は涙を流しつつ、「魂を拾いに来ました」とも語ったという。……

〔コラム:中日新聞2016年5月25日〕

 

 ……1955年9月、6歳の少女が行方不明になり、翌朝、遺体が米軍基地のそばで見つかった。暴行された跡があり、米軍人が逮捕された。当時、沖縄は米国の統治下。日本に裁判権はなく、容疑者の身柄はさっさと米本国に移された。……

 日本に駐留する米軍には一種の治外法権が認められ、公務中の事件は米側に裁判権がある。今回は公務外で日本側に裁判権があるものの、そもそも特権意識が犯罪の温床になっているのでは、と指摘されて久しい。

 米軍関係者は旅券なしに出入国でき、日本政府は国内にいる米軍関係者の数すら把握できない。そんな事実に驚かされる。私たちは知らないことが多い。

〔コラム:山陽新聞2016年5月25日〕

 

www.chunichi.co.jp

 

コラム「滴一滴」山陽新聞2016年5月25日http://www.sanyonews.jp/article/354799/1/?rct=tekiitteki