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新聞のコラムや社説をながめてみる

バス事故

 

 大学生13人と運転手2人の命が失われた軽井沢町のスキーバス転落。
 ……事故で浮かんだ国の問題は、バス事業者に対する監督が十分行き届いていなかったことだ。監査対象はバス事業者だけで約4500社ある。タクシー、トラック事業者を含めると約12万社に上る。これに対し、全国にいる監査官は365人。1年に監査できるのはバス事業者の5分の1程度しかない。違反が見つかっても処分までに1年近くたってもいる。
 ……バス業界に事故を生みやすいひずみができたのは、2000年の規制緩和によってだ。市場原理を通じて活性化する。この掛け声のもと、バス事業は需給状況を考慮して参入を認める免許制から、一定の要件を満たせばよい許可制に、運賃も認可制から届け出制に変わった。中小業者が新規参入しやすくなり、緩和前に比べ事業者数は倍増した。
 狙い通り競争原理が働き、運賃は下がった。その裏では、コスト削減で運転手の賃金が抑えられ、年間所得は全産業平均を大きく下回るようになった。なり手不足を招き、運転手の長時間労働と高齢化につながっている。……
〔社説:信濃毎日新聞2016年5月8日〕
 
  これは本当に痛ましい事故でした。でした、では終わらせていけない。こうした人災は、防ごうと思えば防げたはずだし、起きてしまった以上は、その原因を調査し、対策をたて、改善していかなければいけません。
 バス業界というよりは、日本全体の経済状況が遠因だろうと思います。高い新幹線よりも安い夜行バス。私も大学生のときは、夜行バスで帰省していました。やはり乗るときには、事故の可能性が頭をよぎります。でも、仕方がない。お金がないから。もちろん、命にはかえられないし、死んでいいとも思ったことはないけれども、万が一、事故が起きてしまってもしょうがない。費用的な問題から夜行バスを利用する人は、それぐらいの気持ちを抱えて乗ることもあるのではないでしょうか。「ただ安いから」乗るわけじゃなくて、「お金がないから」乗るわけです。夜行バスよりも新幹線のほうが、早いし、乗り心地もいいし、でも、価格はおよそ2~3倍。そこをどうしても出せない層が増えた、そのことがバス業を規制緩和とコスト削減に向かわせたのだと思います。(念のために付加しておくと、これは、この事故の大学生がそんなにお金のない部類ではないかもしれない、とうこととは別問題です。)
 不便だろうが、乗り心地が悪かろうが、安い交通手段は必要だと思います。そういう選択肢は、なければならない。でも、そこが拡大していったこと、拡大せざるを得ないことが問題ではないでしょうか。