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sleep like a log

新聞のコラムや社説をながめてみる

妖怪話の中の社会

文化・宗教

 8月もいよいよ終わろうとしていますね。小さいころから夏休みの宿題は30日、31日にするタイプだった私は、小学生のときは泣きながら夜中に絵を描いたりしていましたが、 高校生にもなると夏休みが終わってからやり始めたりもしました。習字、絵、読書感想文、自由研究、日記、工作。私はいまいち創造性に欠けるので、どれもあまり得意ではありません。

 中学生のときの自由研究では、戦争をテーマにした詩をノートにまとめた記憶があります。我が家は経済的には間違いなく低所得者層ですが、家にはお下がりの本がたくさんあって、詩集や、絵本、児童向けの文学集や、星座にまつわる神話などがそろっていました。これは長崎の学校だけかもしれませんが、原爆が投下された日に合わせて登校日があり、戦争関係のお話を聞いたり、映画を見たりしたものです。

 そういうわけで、戦争の詩を選んだわけですが、夏らしく妖怪の話を集めてみるのも面白かったかもしれません。とはいえ、当時の私には、都市伝説や怪談と、伝承的な妖怪話の区別は付かなかったでしょう。小さい私には、小さい私だけの感性や考えがあり、それは今の私にはもはやないものですが、今の私にも、小さい私にはなかった視点や考え方が備わったように思えます。

 ……中島敦司・和歌山大学教授は、心霊や怪奇現象といった民俗学分野ではなく、植物生態学が専門。妖怪研究に取り組む理由について「昔の自然の姿、社会の姿が妖怪話の中に隠れているから」と説明した。……
  民間伝承には多くの教訓が含まれている。例えば、熊野を代表する妖怪、ダルに遭遇すると空腹を覚えて急に動けなくなり、最悪の場合は衰弱死してしまうという。有毒ガス説もあるが、米一粒でも口にすれば逃れられると伝えていることから、山中では遭難に備えて常に食糧を持ち歩くようにという教訓ともいう。……

<全文>「妖怪より怖いもの」/AGARA 紀伊民報(2016.8.27)*強調は引用者