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sleep like a log

新聞のコラムや社説をながめてみる

試験と人間力

  作井上ひさしさんは「少なくとも入学試験問題の出し方については、よその国からも学んだ方がいい」と勧めていた。

 米国の大学ではこんな問題が、と2005年のエッセー集「ふふふ」(講談社文庫)の中で紹介している――。「ここにあなたの一生をまとめた伝記がある。総ページ数は300。さて270ページ目にはどんなことが書いてあるか。それを書きなさい」……

 フランスの大学入学資格試験ではこんな問題も、と井上さん。「夜のセーヌ河岸で君は娼婦と出会う。川に飛び込もうとしている。思いとどまらせて、生きていく元気を与えるよう説得を試みよ」……

 出典:「舶来上等主義から言うのではないが」… - 西日本新聞(2017.1.24)

  私だったら、こういう試験で合格できなかったとき、実力不足だったとか、努力が足りなかったとかではなく、つまらない人間だったから不合格だった、と思ってしまいそう。思ってしまうもなにも、実際、そういうことなんでしょうけれど。

 私が受けた大学(文系)の後期試験は、小論文のみで、「沈黙」をテーマに書くというものでした。沈黙といえば重苦しいイメージがあるけれども、私はそのとき、友人をなぐさめるためにホットココアを渡して寄り添うような、そういう沈黙について書きました。沈黙はときに、どんな言葉よりも雄弁に、優しく、気持ちを伝えることができる的な。

 人間性の豊かさ(人間力ってそういうこと? よくわからない)を証明するように求められる問題よりも、それぐらいのほうが楽だな。