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身を捨ててこそ浮かぶ瀬

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という格言をご存じだろう。その意味といえば、一般的に「自分を犠牲にする覚悟があれば、物事はうまく行く」と解釈される。……

 しかし分析哲学が専門の野矢茂樹さんは「溺れそうになったらむきにならず、力を抜いて身を任せれば自然に体は浮く」と思っていたそうだ(「哲学な日々」講談社

 それというのも、ひたすら念仏を唱えた名僧が「死ぬ気で頑張れ!」とスポ根系の教えを説くとは思えないからだ。

 出所:「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」… | 越山若水 | 福井新聞ONLINE

 格言の由来は空也上人の和歌とされている。   

   山川の末(さき)に流るる橡殻(とちがら)も

   身を捨ててこそ浮かむ瀬もあれ

 「橡」とは、トチ、クヌギのこと。実はどんぐりである。「橡殻」とは、字面からはどんぐりの帽子の部分のようにもみえるが、浮いたり沈んだりするもののようだから、どんぐりそのもののことだろうか。川に流されるどんぐりを思い浮かべると、確かに、身を犠牲にする覚悟があればうまくいくというよりは、流れに身を任せたほうが好転する、という意味のほうがしっくりくる。