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あるじ不在の家

 るじ不在の家は人がやたら立ち入り、キツネやフクロウもすみつく。鎌倉時代の末期、吉田兼好はそんな身近な例を挙げて説いた。〈虚空〉には何でも物が入る。われわれに雑念が勝手に入ってくるのも心に主人がいないからだ、と。……

 

 社会学マックス・ウェーバーは清貧を尊ぶプロテスタントの信仰が資本主義を生んだと論じた。だがその行く末を案じていた。〈精神のない専門人、心情のない享楽人〉は、かつて達したことがない人間性の段階まで登りつめたとうぬぼれるだろう―……

 出典:斜面 | 信濃毎日新聞[信毎web](2018.4.20)

 

 キツネやフクロウなら構わないけれども、勝手に入ってくるよりは、自分で選んで入れたい。周囲の様子に振り回されたり、動じたりすることも少なくなると思うんですよね。そういう意味では私は昔よりもずっと鈍くなり、生きやすくなった。

 ウェーバーの『プロ倫』ってそんな話でしたっけ…。予定説では、いくら善行を積もうが人間の運命は決まっているし、貯蓄も欲のあらわれでしかなかったが、プロテスタンティズムによって「天職に励むことは神の意思にかなうことである」と肯定された結果、利潤を追求することがオッケーになって、資本主義を発展させた、みたいなあれですよね。現実の生活においても救われたかったのだと思う。